飲食店を辞めたい人は多い？転職を成功させるポイントも紹介

飲食店は人材の入れ替わりが激しい業種であり、辞めたいと感じている人が多い傾向にあります。

 

今の職場に不満を感じて、退職や転職を考えている方も少なくないでしょう。

 

当記事では、飲食店を辞めたいと思う理由と、転職を成功させるポイントを解説します。

 

円満退職のコツや、退職する際の注意点もまとめているので、ぜひ参考にしてください。

飲食店を辞めたいと思う理由5選

飲食店を辞めたいと思うおもな理由は、以下の5つです。

1. 労働時間が長い
2. 給料が安い
3. 休みが自由にとれない
4. 人手が足りない
5. 人間関係が悪い

それぞれの詳細を見ていきましょう。

①労働時間が長い

飲食業は仕込みの時間や店内清掃など、営業時間外の業務が多い業界です。

 

実際に厚生労働省「毎月勤労統計調査　令和５年分結果速報」の調査によると、運輸業・郵便業の180時間に次いで、飲食業は174.3時間と労働時間が2番目に長いことが分かりました。

 

業種	月間実労働時間	月間出勤日数
飲食業	174.3時間	20.4日
運輸業,郵便業	180時間	20.1日
建設業	168.9時間	20.4日
電気,ガス業	157.3時間	18.8日
製造業	164.6時間	19.3日
医療,福祉	156.5時間	19.6日
金融業,保険業	152.4時間	18.8日
サービス業	160.4時間	19.2日

参照：厚生労働省「毎月勤労統計調査　令和５年分結果速報」

 

労働時間の長さを負担に思う社員は多く、辞めたいと感じる理由の一つとなっています。

②給料が安い

飲食業は労働時間の長さに対して、給料が安い傾向にあります。業務量に見合わない給料に、辞めたいと感じる方は多いようです。

 

実際に他業種と平均年収を比較すると、以下の結果となりました。

 

業種	平均年収
飲食業	280万3,000円
医療,福祉	455万9,000円
建設業	628万4,000円
製造業	636万1,000円
卸売業,小売業	441万5,000円
金融業,保険業	801万1,000円
不動産業,物品賃貸業	531万6,000円
サービス業	420万9,000円

参照：厚生労働省「令和５年分　民間給与実態統計調査」

 

一覧で比較しても、飲食業の給料は安いといえます。また、日本全体の平均年収460万円(※1)と比べても、おおきな差があることが分かります。

 

※1参考：厚生労働省「令和５年分　民間給与実態統計調査」

③休みが自由にとれない

とくに社員は人手不足を補うために出勤せざるを得ず、休みを取るのが難しいと感じる人は多いようです。

 

また、飲食店は土日や長期休暇は稼ぎ時であり、家族や友人と休みが合わないことも不満の一因となっています。

 

実際に厚生労働省「令和５年就労条件総合調査の概況」の調査結果を見ると、飲食業の有給取得率が1番低いことが分かりました。

 

業種	有給平均取得率
飲食業	49.1%
教育,学習支援業	54.4%
卸売業,小売業	55.5%

参照：厚生労働省「令和５年就労条件総合調査の概況」

 

なお、他業種では電気・ガス・熱供給は73.7%、製造業は65.8%、医療・福祉は65.3%という結果となっています。

④人手が足りない

給料に見合わない長時間労働が原因で退職する人が多く、飲食業界は慢性的な人手不足に陥っています。

 

残された従業員は、人手不足を補うために業務量を増やす必要があり、肉体的・精神的負担から辞めたいと感じてしまうようです。

 

飲食店DXを推進する株式会社DFA Roboticsが発表した調査結果によれば、92.5%(※1)もの人が「人手不足」を実感していたことが分かりました。

 

飲食店の人手不足は社員だけでなく、アルバイトやパートにも負担となり、辞めたいと感じる要因となっています。

 

※1参照：株式会社DFA Robotics「飲食店の人手不足における実態調査レポート」

⑤人間関係が悪い

飲食店は狭い空間で同じメンバーと仕事をするため、従業員同士の距離が近く、人間関係の悩みを抱える人が多い傾向にあります。

 

また、長時間労働や激務からストレスを感じる人が多く、居心地の悪さから辞めたいと思う人も少なくありません。

 

社員同士では意見の食い違いにより、関係が悪化するケースもあるようです。

 

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飲食店を退職するまでの流れ

飲食店を退職するまでの流れは、以下のとおりです。

1. 上司に退職の意思を伝える
2. 退職日の調整
3. 仕事の引継ぎ
4. 退職の挨拶回り
5. 私物の整理・貸与品の返却
6. 退職

退職の意思は直属の上司、または小規模の店舗であれば社長に直接伝えましょう。

 

退職を伝えるタイミングは就業規則によって異なりますが、およそ1〜2ヶ月前までに伝えるとトラブルなく退職できます。引継ぎなども考慮して、できるだけ早めに伝えましょう。

 

なお、早急に辞めたい場合は法律上、2週間前(※1)までに退職の申し入れをすると退職が可能です。引継ぎも大事ですが、自分自身の精神面を優先して日程を調整しましょう。

 

※1参考：e-Gov 法令検索「民法 第六百二十七条」

飲食店を退職する際の注意点

飲食店を退職する際に押さえておきたい、4つの注意点を紹介します。

1. 退職するまでにある程度の時間がかかる可能性がある
2. 繁忙期の退職は避ける
3. 引き止められる可能性がある
4. 退職の申し入れを断られる可能性がある

トラブルなくスムーズに退職するためにも、事前に把握しておきましょう。

注意点①退職するまでにある程度の時間がかかる可能性がある

特に社員は業務を引き継ぐ従業員に仕事を伝える必要があるため、辞めたいからといってすぐに退職するのは難しいでしょう。

 

店長クラスの社員にもなれば業務量も多く、引継ぎにある程度の時間がかかります。

 

また、取引先への挨拶周りや従業員のフォローアップなど、残された人たちへのサポートも大切です。

 

退職日の1〜2ヶ月前までを目安に、就業規則を守って退職の意思を伝えるとトラブルを避けられます。

注意点②繁忙期の退職は避ける

繁忙期に退職をすると、残された従業員に負担をかけてしまいます。お店や顧客にも迷惑をかけてしまうため、比較的業務が落ち着いている時期や閑散期に退職しましょう。

 

また、繁忙期に退職の意思を伝えると印象が悪くなってしまい、円満退社が難しくなります。人手不足を懸念して、引き止めに合う確率も高くなるでしょう。

 

退職の意思が強い場合は、仕事が落ち着いたタイミングで辞めたい旨を伝えておくと、周りからの理解を得やすくなります。

注意点③引き止められる可能性がある

人手不足が慢性化する飲食業界では、社員やアルバイトに関わらず、できれば辞めてほしくないと考えるお店が多いのが現状です。

 

また、人手が足りていない店舗では社員が店長1人だけというケースもあり、引き止めに合うのは避けられないでしょう。

 

人材を確保できるまで待っていては、いつまでも退職はできません。

 

3ヶ月後までに退職したいなど、具体的な退職日を提示し、退職の意思が強いことを示しましょう。そのうえで、退職日までにできる限りのフォローを行い、円満に退社できるよう努めましょう。

注意点④退職の申し入れを断られる可能性がある

原則として、労働者には「退職の自由」があり、退職の拒否は法律上できません。

 

会社都合で退職を断られた場合でも、退職する権利があることを理解しておきましょう。

 

ただし、民法の規定では、退職日の2週間前までに退職の意思を伝える必要があり、2週間以内の退職は認められていません。

 

また、就業規則に「退職は1ヶ月前までに伝える」などの規定があった場合は、できるだけ考慮して退職の意思を伝えましょう。

飲食店を円満に退社するためのコツ

飲食店を円満に退社するためのコツは、以下の3つです。

1. 2週間前に退職届を送る
2. 転職先はあらかじめ決めておく
3. 退職代行サービスを利用する

1つずつ見ていきましょう。

①2週間前に退職届を送る

退職を希望する2週間前であれば、法律上問題はありません。会社都合で退職を断ることはできないため、最短2週間で退職できると理解しておきましょう。

 

とはいえ、多くの業務を抱える店長や社員の場合、引継ぎにも時間を有します。後任を育てる時間も必要となるため、早めに伝えた方が円満退社を目指せるでしょう。

 

また、できるだけトラブルを避けるためにも、就業規則にのっとって退職を申し出ることも大切です。やむを得ない事情がない限りは、就業規則の規定どおりに対応しましょう。

②転職先はあらかじめ決めておく

転職先が決まっていれば会社にも納得してもらいやすく、退職交渉もスムーズに進みます。

 

また、次の職場が決まっていると収入面の不安がなくなり、退職への迷いも軽減されるでしょう。

 

現職で働きながら転職活動を行うのは大変ですが、転職エージェントなどをうまく活用し、納得のいく転職先を見つけましょう。

 

ただし、働きながら転職活動を行うと時間調節が難しく、思うように進まないケースも多々あります。「半年後には転職している」など、明確な目標を定め、計画的に行動しましょう。

③退職代行サービスを利用する

退職を拒否されるようなことがあれば、退職代行サービスを利用するのも一つの手です。

 

引き止めに合うのが分かっている場合や、うやむやにされそうな会社に有効な手段といえます。

 

退職代行サービスを利用すると、自分の代わりに退職の旨を伝えてくれるので、トラブルなくスムーズに辞められます。引継ぎなどのやりとりも、退職代行のスタッフに相談すれば間に立ってもらうことが可能です。

 

早ければ当日からお店に行かなくてよいので、退職を伝えることが精神的負担となっている人は、選択肢に入れるとよいでしょう。

飲食店から転職を成功させるために必要なポイント

飲食店から転職を成功させるために必要なポイントは、以下の3つです。

1. 転職理由は明確にする
2. 異業種の場合、興味のある仕事を見つける
3. 知人や友人など、第三者に相談する

気持ちよく退職し、次のステップに進むためにもぜひ参考にしてください。

ポイント①転職理由は明確にする

次の転職先に希望する職場の条件が明確になり、失敗のリスクを避けられます。

 

たとえば、休みが取りにくいことに不満を感じたなら、有給取得率が高く長期休暇もある職場を。給与の面で納得がいかない場合は、高収入が期待できる大手チェーン店など。

 

転職理由を明確にすることで、自分に合った転職先を見つけやすくなるでしょう。

 

また、今の職場に退職の申し入れをする際にも、明確な理由を伝えられるので、会社側も納得しやすくなります。

ポイント②異業種の場合、興味のある仕事を見つける

飲食店以外へ転職を目指す場合、未経験の仕事に不安を感じる方も多いでしょう。

 

しかし、興味のある仕事に前向きにチャレンジする気持ちがあれば、やる気や人柄重視で採用してくれる企業も多く存在します。

 

また、求人サイトを調べると転職先の選択肢が広がるだけでなく、自分のスキルを活かせる仕事が見つかります。他業種で気になる仕事があれば、応募する前に知識を身に付け、スキル取得を目指すことも可能です。

 

店舗運営や接客経験を活かせる仕事も多いので、自信を持って転職活動を進めましょう。

ポイント③知人や友人など、第三者に相談する

転職活動に不安を感じている人は、精神的負担を少し軽くできるはずです。

 

また、もし転職を経験した人がいれば、ぜひ話を聞いてみましょう。実体験をもとに、的確なアドバイスがもらえます。

 

飲食店から転職経験者がいれば参考になりますが、他業種の転職経験でも十分に役立つでしょう。

 

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まとめ

飲食店を辞めたいと感じている人の多くは、長時間労働に見合わない給料に不満を覚えていることが分かりました。

 

また、人手不足が慢性化しているお店も多く、従業員一人ひとりの負担がおおきいのも、辞めたいと思う原因といえるでしょう。

 

転職を検討する際は、引き止めに合う可能性が高いことを前提に、計画的に行動する必要があります。

 

「精神的にきつい」「引き止められたら辞められなそう」と不安に感じる人は、退職代行サービスに相談するのも一つの手段です。