寿司職人になるには?仕事内容や向いている人の特徴を解説!
寿司は、日本の食文化を象徴する伝統的な料理として、世界中で高く評価されています。
そして、洗練された技術と繊細な味わいを提供する寿司職人は、多くの料理人にとって憧れの存在です。
特別な資格や学歴は必要なく、誰でもチャレンジすることができる職業ですが、その道のりは決して楽ではなく、厳しい修行や経験が求められることもあります。
本記事では、寿司職人を目指す方に向けて、職人としての仕事内容や、向いている人の特徴を解説します。
目次
そもそも寿司職人になるには?
冒頭でも書いたとおり、寿司職人には資格や学歴は必要ありません。
やる気があれば、誰でもチャレンジすることができますが、専門的な技術と知識が求められます。
職人は、寿司を握るだけでなく、「魚の捌き方」「調味料の選び方」「米の炊き方」など、料理全般に関わるスキルを身につけることが必要です。
また、お客さまと直接対面する機会が多いため、接客スキルやコミュニケーション能力も求められます。
寿司職人を目指すには、「養成学校で学ぶ方法」と「弟子入りして修行する方法」の2つがあります。
どの学び方が自分に適しているのか、働き方や目指す方向性によって異なるので、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
養成学校で学ぶ
寿司職人として早く現場に立ちたい方には、短期間で効率的に学べる養成学校が最適です。
数週間から数ケ月で学べるカリキュラムが設けられており、現役講師による直接指導を受けられるので、集中的にスキルを身につけることができます。
学校によってカリキュラムは異なりますが、具体的に学べる内容は以下のとおりです。
- 包丁の研ぎ方、魚の選び方、捌き方、握り方、米の炊き方など、寿司全般に関する基本技術
- 出汁の取り方、揚げ物、焼き物、煮物、蒸し物など、和食全般に関する調理技術
- 接客マナーや栄養学といった幅広い知識
- 経理や管理などの知識
- せり見学や実店舗での実習
など
寿司の技術だけでなく、他の関連技術も学ぶことができるため、卒業時には総合的なスキルがしっかりと身についています。
養成学校の大きな魅力は、短期間で寿司職人を目指せることや、就職サポートを受けられることです。
ただし、学習期間が長くなるほど、費用が高額になると言うデメリットもあります。
弟子入りして修行する
寿司屋などで弟子入りして修行する方法は、すぐに現場で寿司を握ることはできませんが、古くから続いている職人の育成方法として、根強く存在しています。
この修行では、長年の経験をもつ師匠から直接指導を受けて、現場での実践を通じて技術を少しずつ習得していきます。
朝早くの仕入れや、夜の営業に向けた仕込み作業など、職人としての1日を体感的に覚えられるのが、この修行の特徴です。
最初に与えられる仕事はお店によって異なりますが、多くの場合、皿洗いや掃除と言った雑務からスタートします。
徐々に、魚の下処理やネタの準備などを学び、最終的には、寿司を握る技術を身につけることが目標です。
ただし、握りの技術を習得するには、10年かかるとも言われており、どのくらいの期間で1人前になれるかは修行元によって異なります。
弟子入りの大きな魅力は、実際の現場で師匠の仕事を間近で見ながら、技術や接客スキルを自然と吸収できることです。
日々の業務を観察し、自らの学びに取り入れることで、学校では教わることのできない実践的なスキルを、確実に身につけることができます。
一方で、この修行の道は厳しいものであり、長期にわたる訓練を耐え抜くための忍耐力や根気が求められます。
そのため、指導してくれる職人の人柄や、お店の雰囲気など、事前に見学や体験を行い、最適な職場を見つけることが成功の鍵となるでしょう。
【養成学校vs弟子入り】選び方のコツ
寿司職人になるために、「養成学校」を選ぶか、それとも「弟子入り」を選ぶか迷う方もいるでしょう。
選び方のポイントとして、自分の性格や目指すキャリアパスをしっかり考えることが大切です。
たとえば、効率的に技術を学びたい人や、短期間で寿司職人としてのキャリアをスタートさせたい人には、養成学校が向いています。
一方で、現場での経験を重視し、実践的に学びたい人や、伝統的な職人の道を歩みたい人は、弟子入りを選ぶと良いでしょう。
寿司職人のキャリアパス
寿司職人に必要な技術や知識を身につけたあとは、寿司屋へ就職したり海外で働くことも可能です。
職人として経験を積んでいけば、独立を目指すこともできます。
養成学校を卒業したあとは、学校のネットワークを通じて、就職先を紹介してもらうことが多いです。
求人サイトや自分で探す方法もありますが、学校がもつ業界との繋がりは強力なサポートになります。
とくに海外で働きたいと考えている場合、養成学校での学びは有利です。
日本では長期の修行が必要とされますが、海外では短期間の経験でも認められるケースが多く、基本的なスキルを身につければ海外で働くことも可能です。
また、日本の伝統を理解している日本人の寿司職人は、海外で優遇される傾向があり、高収入を目指すことも期待できます。
一方、寿司屋へ弟子入りをしたあとは、実践的な経験を通じて深い技術と知識を身につけていきます。
修行と経験を積んで、師匠をサポートする「右腕」や「副職人」などのポジションに昇進することで、店舗経営の一部を任されたり、責任者として活躍する機会も訪れたりします。
長期にわたって役割を果たせば、独立を視野に入れて自分で店を構える準備もできるので、さらに大きなキャリアを築くチャンスがあります。
また、修行した店から別の店へ移ることで、新しい技術やスタイルを学び、職人としての幅を広げることも可能です。
寿司職人の将来性は?
寿司職人は、日本だけでなく海外でも需要が増加しているので、活躍の場が広がり将来性のあるスキルだと言われています。
とくに、健康志向の高まりに伴い、和食は世界的に注目を集めており、そのなかでも寿司は海外でも広く支持され、その人気は今後も続くと考えられます。
近年では、AI技術の進歩により、回転寿司店などで業務用ロボットが寿司を作るお店も増えているので、寿司職人の将来性が懸念されています。
しかし、すべてをロボットに任せるのは難しいです。
たとえば、
- ネタに応じた握り方の調整
- 職人との会話
- 調理姿のパフォーマンス
- お客様のリクエストに応じた対応
- 季節の旬な食材の見極め
など
食器洗いや会計はロボットに任せられても、人にしかできない仕事が多くあるので、寿司職人の需要がなくなることはないでしょう。
将来的に活躍していくためには、伝統を守りつつ、新しい食材や調理法を積極的に取り入れ、技術を磨き続けることが求められます。
つねに学び続けることで、さらに多くの場で活躍できる機会が広がります。
寿司職人の主な仕事内容
寿司職人は、寿司を握るだけでなく、さまざまな業務に携わります。
たとえば、以下のような仕事が挙げられます。
- 魚市場でネタを仕入れる
- ネタづくり・シャリづくり
- 寿司を握り提供する
- そのほかの雑務
など
それぞれ解説します。
魚市場でネタを仕入れる
寿司職人にとって、新鮮なネタを選ぶことは重要です。
多くの寿司店では、早朝に魚市場へ行き、その日のための魚を直接仕入れます。
市場では、魚を選ぶ際のやりとりや、状態なども見極める知識も必要とされるので、職人の経験が活きる場面です。
ネタづくり・シャリづくり
仕入れた魚はすぐに調理されるわけではありません。
適切に下処理をおこない、それぞれの魚に合った方法で保存や加工をします。
また、シャリづくりも寿司を握るのに欠かせない工程です。
酢や水の加減から米の炊き方まで、細部にわたる調整が味に大きく影響を与えます。
ネタを握り提供する
寿司職人の大きな役割は、実際に寿司を握り提供することです。
お客さまの要望に応じて、1貫1貫を丁寧に握り、見た目にも美しい形で仕上げます。
スピードや正確さはもちろん、見た目や味にもこだわり、品質の良い寿司を提供することが求められます。
そのほかの雑務
寿司職人の仕事は、寿司を提供するだけではありません。
お店の掃除や食器の片付け、食材の管理など、寿司以外の業務も数多くこなしています。
小規模な寿司屋では、職人自身が経営や接客対応まで担うことが一般的です。
さらに、店内の清潔さを保ち、お客さまが心地よく過ごせる空間作りにも配慮しています。
こうした細やかな業務の積み重ねにより、職人はお客さまからの信頼を築いていきます。
寿司職人に向いている人の特徴
寿司職人に向いている人は、以下のような特徴が挙げられます。
- 繊細で集中力がある人
- 忍耐力がある人
- コミュニケーション能力が高い人
など
それぞれ解説します。
繊細で集中力がある人
寿司を握る際には、細やかな技術や繊細な感覚が求められます。
魚の切り方・シャリの握り加減など、1つ1つの工程で味か変わるため、繊細な作業に対して集中力を発揮できる人が向いています。
忍耐力がある人
寿司職人は、早朝からの新鮮な食材の仕入れや、夜の営業に向けた丁寧な仕込み作業など、寿司を握る以外にも多くの業務をこなします。
さらに、どんな環境でもつねに高い技術を維持し、スキルを磨き続けることも求められるため、忍耐力や継続力も求められます。
コミュニケーション能力が高い人
寿司職人は、接客する機会が多く、会話を楽しみにしている常連客もたくさんいます。
そのため、接客スキルやコミュニケーション能力も欠かせません。
お客さまの好みやニーズを把握し、それに応じたサービスを提供できる柔軟な対応が求められます。
寿司職人になることで感じられるやりがい
寿司職人になることで感じられるやりがいは、以下の内容が挙げられます。
- お客さまの反応を直接見られる
- 一生をかけて技術を磨ける
- やる気次第で一生続けられる
など
それぞれ解説します。
お客さまの反応を直接見られる
寿司職人の大きな特徴は、カウンター越しに直接お客さまと接することです。
自分が握った寿司を目の前で提供し、それを食べたお客さまの表情や反応をすぐに感じ取ることができるのは、非常に大きなやりがいです。
お客さまが笑顔で「美味しい」と言ってくれたり、リピーターになってくれたりする瞬間は、職人としての満足感を強く感じることができます。
一生をかけて技術を磨ける
寿司職人の技術は、一度身につければそれで終わりと言うものではありません。
毎日、寿司を握り続けることで、技術はさらに洗練されていきます。
また、流行りや需要も変化していくので、魚の種類や季節に応じたさばき方、新しい調理法など、生涯にわたって学び続ける姿勢が求められる奥深いものです。
このように、一生をかけて技術を高め続けることができる職業であり、その過程自体がやりがいになります。
やる気次第で一生続けられる
寿司職人の仕事は、年齢に関係なく続けることができるのも、魅力の1つです。
経験を重ねるほど技術は磨かれ、生涯にわたり活躍できるスキルと言えます。
体力が求められる部分もありますが、やる気さえあれば長いキャリアを積むことができ、独立を視野に入れることもできます。
自分の店を持てると、定年を気にせず好きな仕事で、家族や後輩と一緒に働くこともできるので、人生の大部分を充実させることも可能です。
生涯活躍できる寿司職人を目指し、自分に合った方法でスキルを身につけよう
寿司職人になるためには、養成学校で学ぶ方法と、弟子入りして修行する方法があります。それぞれにメリットがあり、自分の性格やキャリアの方向性に応じて選択できます。
寿司職人としてのキャリアは長期的に続けられるため、やる気次第では一生の仕事として活躍することも可能です。
また、寿司の文化は世界中で人気があり、将来的にその需要が減ることは考えにくいです。
寿司職人としての道を選ぶことで、伝統的な技術を習得しながら、自分の創造性を発揮できる機会も豊富にあります。
自分に合った道を選び、長く充実したキャリアを築いていきましょう。